思えばこの国の文化が枯れ果て始めたのはあのころだったな,と思う日が来る。2003年の始めのころを,かえりみて。
日本レコード協会の富塚会長の発言。「不況の中で癒しや励ましを与える音楽の需要が高まっていいものだが,不正コピーの横行で販売額は減っている。音楽CDからDVDのようなセキュリティ強固な媒体に移行する必要がある。取り急ぎ現行の音楽CDのセキュリティを高めることは必要不可欠」。
DVDビデオがセキュリティ強固だそうです。DVDビデオの販売が伸びていて,音楽CDの販売が落ちているのは,コピーガードされているから,とでも云いたそうです。CD-Rでコピーできなければ,MP3を作成できなければ,音楽CD業界もうはうはなはず,と思っているようです。…本気で云っているととても思えないぐらいのこれらの発言は,開いた口がふさがらない気分です。もう根本的に,いい方向へと向かうことを期待するのは,無理なようです。次期会長もエイベックスという音楽_のようなもの_を作っている会社の人らしいので,やはり期待は裏切られるだけです。なにかを期待することは,すべてムダ,と思い知りましょう。
映画の著作権保護期間を50年から70年に延長するというニュースは(東京新聞の記事),米国でミッキーマウス法と揶揄されている著作権法に倣ったものですが,ミッキーマウス法も今回の日本の著作権法改正も,大手メディア会社が自分の利益を確保するためだけ,に存在するものです。保護のためではなく,金のためです。文化のためではなく,金のためです。それに気付かない(または意図的にそれらの改悪を許している)国会議員を選んだ国民の責任は,あまりにも大きいでしょう。音楽や動画に対して,文化だなんだかんだというのはしょせんどーでもいいことなのですけど,このようにして文化は死んでいくのです。枯渇していくのです。想像力は砕かれ,未来に作られる音楽も,動画も,生まれずに終わることになるのです。(ニュースネタ元:音楽配信メモさん)
|